暑い日が続いていますが、お元気ですか? 日射病、熱射病あるいは脱水症からの脳梗塞など、糖尿病の患者さんには気の抜けない日が続いています。当センターでも、毎週金曜日の糖尿病外来はスタッフ一同、元気いっぱい張り切って仕事をしています。
さて、「お元気ですか」をお送りするのも今度で2回目となりました。今回は、外来に通っている皆さんが、あまり聞きたくない言葉、すなわち糖尿病患者さんの『入院』ついてお話しします。
医療の側から見た糖尿病の治療は『入院』と『外来』の2つの柱から成り立っています。外来だけでは血糖コントロールの」改善しないケースには、入院により食事・運動を中心とした生活の管理と、飲み薬、インスリンを中心とした治療方法の決定が是非とも必要となります。しかし、医者から入院を勧められて「いやだな〜」と思ったことはありませんか? それは、極めて当然の反応ですよね。患者さんの持つまどいや、抵抗感の背景には、(1)仕事が忙しい、(2)入院するほど重症の糖尿病だと自分で思いたくないし、また、人からも思われたくない。 (3)入院するとインスリンの注射をされるからイヤだ。 (4)血糖だ、HbA1cといっても、今のところ何の症状も出ていないので、入院したくない etc.といった気持ちがあることと思います。
そこで、今回は入院にまつわるいくつかの誤解をといて、より良い理解をしてもらうために、僕の所属する山梨大学第3内科の平成7年度上半期に入院した糖尿病患者さんのうち無作為に選んだ50名(男性28名、女性22名)を対象に、いくつかの統計をとってみました。
①入院理由
まず入院の理由ですが、1割に当たる5名の方は全身の浮腫(むくみ)や、脳梗塞を起こして緊急入院されました。こうした重症の方とは別に、約2割の9名の方が、糖尿の勉強を目的に入院しています。この多くは軽症で、糖尿病にも負けずに積極的に立ち向かおうと選択された人たちです。そして、もっとも多い6割の人は、外来でコントロールがつかなくなりその改善をめざして入院してきます。
このお便りを読んでいる皆さんも入院をすすめられた場合、このコントロール目的の入院がほとんどということになります。以外と頻度が多いでしょう!
②年齢
20歳代、30歳代は50名中の4名ずつ計8名でした。中には、高血糖の新生児への悪影響を心配して、妊娠中の完璧な血糖コントロール目的に入院した妊婦もいました。最も人数の多いのは、50歳代で16名、次は40歳代で14名もいます。49歳以下の人は全体で44%になります。このように糖尿病は高齢者ばかりの病気ではないのです。
③合併症
僕が、診察の場面で何回か言っていると思いますが、糖尿病では血糖が高いこと自体による症状は、あまり表に出ないことが多いのです。むしろ、糖尿病の合併症による症状が目につきます。病気を患っている期間が長いほど、合併症はおきやすいのです。まず、目立つものをまとめて表にしてみましょう。
表1<一般合併症>
高血圧 |
15名 |
肥満 |
4名 |
高脂血症 |
11名 |
狭心症・心筋梗塞 |
4名 |
肝炎・肝硬変 |
11名 |
白内障 |
2名 |
脳梗塞 |
7名 |
脳出血 |
2名 |
脂肪肝 |
6名 |
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いずれの合併症も、よく耳にするもので、生活の質を落とすもの、寿命を短くするものばかりですね。
次に皆さんのよくご存知の糖尿病3大合併症について表にまとめてみましょう。
表2<3大合併症>
糖尿病性眼症 |
17名 |
糖尿病性神経障害 |
27名 |
糖尿病性腎症 |
18名 |
上記の3大合併症をすべて持つ者 |
13名(50名中) |
すなわち、2人に1人の人は、糖尿病で手足のしびれなどの神経障害があり、4人に1人はすべての3大合併症を持っています。
あなたはどうですか?
<I> 治療方法
入院して、一日に何回も耳から血を採り、血糖を測り、規則正しい食事と運動のもとで患者さんに最適な治療方法が選択されます。このお便りを読んでいる方のほとんどは飲み薬で糖尿病の治療をしているはずです。山梨医大第3内科の入院時に飲み薬を飲んでいた18名のうちで、退院時にインスリンを使わざるを得ない方が7名、逆に退院時に飲み薬も飲まずに食事療法のみで良くなる方が4名もいました。
これから分かる通りに、『入院したら、むりやりにインスリンの注射に変えられる』という風説は、真っ赤なうそです。
厚生連の健康管理センターは、残念ながら入院施設がありませんので、糖尿病での入院の場合は、山梨医大第3内科に来てもらうことが多いと思います。タイミングの良い入院治療は、非常に有意義です。
このお便りで入院生活の事情をちょっとは、垣間みることができたでしょうか?
同室者と連れ立って運動に励みながら血糖コントロールに取り組んでいる患者さんの生き生きとした顔つきを見ると、あなたの入院に対するイメージも変わるかもしれません。
秋には、山梨のぶどうの甘い誘惑が待っています。心を引き締めてがんばりましょう。
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