原口クリニックは山梨県甲斐市の 内科 糖尿病 透析 腎臓内科 甲状腺 巻き爪 の専門病院です。

原口内科・腎クリニック

  院内だより

 

糖尿病腎症について

 お元気ですか?

 今年は雪が多くて道路の雪かきや、ブドウ棚の雪降ろしなど忙しいことと思います。 道路の雪かきなどは無理な姿勢で、寒い場所での重労働ですから、心筋梗塞などに注意して少しでも胸の苦しい感じがあるときにはやめておいて下さい。  また滑って骨折などすることも多いですから高齢の方は無理して出歩かないでください。 

 さて、今回は糖尿病性腎症についてお話しします。 腎症は皆さんもよく御存じのとおりに糖尿病の3大合併症の一つです。 1998年に透析新規導入患者数の約30%を占めて原因疾患としてはとしてそれまでの慢性腎炎から1位の座を奪い取りました。(図1を参照してください。)  したがって最もこわい腎臓の病気ということになります。  わが国の糖尿病有病率は約10%で、患者人口は690万人といわれていますのでこれからもっと増えていくことが予想されます。 医療費の話はさておき本日の主題はどうやってこの糖尿病腎症から身を守るかということです。 
 
 糖尿病には1型のインスリンはどうして必要とする急激に発症するタイプの方と2型で中年以降になってゆっくり発症してくる方があることは御存じと思います。 これをお読みの皆さんはほとんどが2型になります。 一般的には1型の方のほうが病気が重いことが多いようです。 糖尿病腎症は始め蛋白尿の形で気付かれます。 発症後5年では1型の方では10%ほどに蛋白尿を認めますが、2型の方では診断時に既に20%に蛋白尿が認められるといわれています。 

 では糖尿病が重い1型より2型の方のほうが蛋白尿が多いのは何故でしょう? このことが本日のポイントです。 

 原因はいくつかあります。 まず、2型は発症時期がはっきりしないことはあり発見されたときは既に手遅れということもあります。 そのほかに2型では高齢の方が多いために他の病気を合併していて、そのことが蛋白尿を悪化させていることがあります。 例えば高血圧、高脂血症、喫煙等がその原因です。 高血圧と糖尿病性腎症はお互いがお互いに悪い影響を与える悪友のような関係にあります。 たとえば外来で検査する尿のテストテープの検査で蛋白尿が++ぐらい認められる時期になると約半数の患者さんに高血圧がみられます。 

 腎臓は血管の塊です。ですから腎臓に起きていることは身体中の血管に起きていると考えられます。ですから高血圧、高脂血症、喫煙等は糖尿病性網膜症、心筋梗塞、足の壊そなどを引き起こします。 微量の蛋白尿であって糖尿病患者では死亡率の上昇に結び付くことが知られています。 このことからいろいろの原因を取り除くことが如何に大切かおわかりになると思います。  高血圧、高脂血症の治療、禁煙などが腎症の発症を抑えるという趣旨の論文は枚挙に暇がありません。 特に血圧のコントロールについてはアメリカ合同委員会の第6次報告があって、この中で血圧の目標は130/85mmHgと記載されています。 また蛋白尿が毎日1g以上出る方の場合には125/75mmHgが望ましいとされています。 皆さんの血圧コントロールは如何ですか? 

 では血糖自体のコントロールはどうあるべきなのでしょうか? 以前紹介しましたDCCT(Diabetes Control and Complication Trial)などの大規模臨床研究で血糖のコントロールを良くすると腎症の発症を半分に抑えられることがわかっています。 しかし腎障害が進んでくると病気も元には戻せません。 図2に腎障害の進行度の分類を載せておきます。自分がどの段階にあるかチェックしてみてください。 同じく大規模臨床研究の熊本スタディーなどによると微量アルブミン尿(外来で行うテストテープの検査では尿蛋白はほとんど陰性です)、顕性腎症前期までなら血糖のコントロールが病気の進行を止めて場合によっては改善させるようです。しかし残念ながらテストテープで尿蛋白が++や+++になる時期では病気の進行を止めることは難しいとされています。

 外来で行う尿の検査は一回たった84円です。 安くても意外と大切な検査であることがおわかりになったでしょうか?

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